林馨は一瞬固まった。
彼女はそうだったのか?
東山裕は淡々と言った。「心を込めたからといって、必ずしも上手くいくとは限らない。でも、心を込めることは間違いではない。今回の君の仕事は良かった。ただ、これからのデザインでも初心を忘れないでほしい」
「……」林馨は呆然として言葉を失った。
「初心を忘れるな」というその四文字は、彼女の心に大きな衝撃を与えた。
もしかして今回、彼女は初心を忘れてしまったのだろうか?
彼女の初心とは何だったのか?
優れたデザイナーになることであって、東山裕の機嫌を取ることではなかった……
今回、東山裕の気を引こうと焦るあまり、彼女のデザインも浮ついたものになってしまった。
しかし、彼女自身にはそれが分からなかった。
東山裕は彼女がまだ理解していないようだと見て取り、これ以上説明せずに「用事がなければ下がっていいよ。次回また規則を守らなければ、規定通りの処分を下す」と言った。