海野桜は怒るどころか笑みを浮かべた。「そういうことなら、私もあなたのことに口を出す資格があるってことね?」
東山裕は意地悪そうに口元を歪めた。「俺のことで、お前が口を出さなかったことなんてあったか?」
「……」
そうね、以前の彼女は世話焼き女のように、彼のすべてに干渉しようとしていた。
あれは間違っていた……
海野桜は冷ややかに言った。「これからはあなたのことに口出ししないわ。あなたも私のことに口を出さないで」
「それは結婚した時に言うべきだったな」
海野桜はイライラして言い返した。「だから以前は間違っていたの。今、正そうとしているじゃない。どうして?私が改めないほうがいい?私にずっとあなたのことに口出しさせたいの?」
最後の言葉には、皮肉めいた口調が混じっていた。