東山裕は彼女を褒めているの?
海野桜は喜びの表情を浮かべた。「あなたの言う通り、私の絵はとても良いの?500万円がもらえるの?!」
東山裕が目を上げると、彼女の輝く笑顔と目が合った。
彼女の澄んだ黒い瞳には……まるで星が輝いているかのように、眩しく光っていた。
東山裕の表情が一瞬恍惚とした。
海野桜は再び尋ねた。「そうなの?私、500万円がもらえるの?!」
東山裕は薄く微笑んで、「そんなに賞金にこだわるの?」
「もちろんよ。この500万円のためじゃなかったら、絵なんて描かないわ!」海野桜は心の喜びを抑えきれず、「私、500万円がもらえるの?」
彼女の期待に満ちた眼差しに、東山裕の心臓が突然乱れた。
彼は深く彼女を見つめ、思わず不思議そうに笑った。
自分はどうしたんだろう、狂ったのか病気なのか、さっきまで彼女の様子が……可愛いと思ってしまった。
海野桜は彼の笑みを誤解し、急に緊張して、「結局もらえるの?もらえないなら言ってよ。」
東山裕は心を落ち着かせたが、それでも目の中の笑みは隠せなかった。「もしかしたらね。二つのデザインを私に渡すなら、500万円を出すことはできる。」
海野桜は目を見開き、すぐに顔を覆って笑い出した。
やっと500万円を手に入れた!
これは彼女にとって初めての、こんなに大きな成果だった。
しかも東山裕の認めも得られて、自分はすごいと感じ、ようやく鼻が高くなった。
東山裕は腕を組んで、そのまま彼女の笑顔を見つめていた。
彼女がこんなに嬉しそうに笑うのを見て、彼も不思議と少し笑みがこぼれた。
しかし自分の異常に気づくと、すぐに普段の表情に戻り、「海野桜、いつまで笑ってるつもり?」
海野桜はすぐに笑うのをやめた。「待ってて、すぐ降りてくるわ!」
振り返って階段を駆け上がり、もう一つのデザイン案を取りに行った。
「はい、これをあげるわ。二つのデザインを全部あなたに渡すから、500万円くれればいいの。」彼女は非常に気前よく言った。
東山裕は下書きを受け取り、わざと文句を言った。「確かにあなたのデザインは独特だけど、欠点も多いし、不合理な部分もある。それに描かれた下書きも稚拙で、内部構造もなく、単純な外形だけ。これで500万円というのは、あなたの方が得をしているよ。」