第80章 仲を裂く

「そのまま進め、気にするな」東山裕は冷たく言った。

「でも……」

「そのまま通れ!」東山裕はまばたきもせずに命じた。

運転手は怖がっていたが、そう命じられたので、覚悟を決めて進むしかなかった。

彼らの車は直接通り過ぎ、幸い巻き込まれることはなかった。

海野桜が振り返ると、ちょうどQを運転していた男が車から出てくるところだった。

もし彼女の記憶が間違っていなければ、その人物は相良剛のはずだった。

なぜ彼がここにいるの?

任務を遂行中なのかしら?

海野桜が相良剛を見ている時、東山裕も彼を目にしていた。

彼の目には、誰にも分からない複雑な表情が一瞬よぎった。

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海野桜たちが空港に到着した時、他のメンバーはすでに到着していた。

東山裕は今回、特別補佐1名、秘書2名、会社のエリート5名、そしてボディーガード10名を同行させた。