相良剛は腕時計を見て、あたりを見回した。
何かを見つけたのか、笑って言った。「2分待っていて。」
「え?」
相良剛は何も説明せず、近くの花屋に走っていった。
すぐに、大きな薔薇の花束を買って戻ってきた。
海野桜は驚いた。
「君にあげる。」相良剛は薔薇の花束を彼女に渡した。
海野桜は驚いて、「どうして私に花をくれるの?」
「まず、おじいさんの世話をしてくれてありがとう。それに、さっき驚かされたでしょう?花を見れば、気分が少しは良くなるかなと思って。」相良剛は真面目に説明した。
海野桜はその理由に納得して、「ありがとう。」
彼女は花を受け取り、笑って言った。「これが私、初めての薔薇の花束なの。」
東山裕は一度も彼女に花を贈ったことがなかった。
でも彼女の言葉は、相良剛には別の意味に聞こえた。
彼は彼女がまだ一度も彼氏がいなかったと思い込んでしまった……
相良剛は思わず微笑み、優しい眼差しで彼女を見つめた。
この子は本当に可愛い、おじいさんの目は確かだ!
相良剛は心の中で決めていた。海野桜を妻にしよう!
でも今はまだそんなことは言えない。今回の任務が終わってから、彼女に会いに行こう。
「行こう、車まで送るよ。」
「いいえ、一人で大丈夫……」
相良剛は彼女の手を引いて歩き出した。「君が乗るのを見届けないと心配だから。」
海野桜は笑顔になり、心が少し温かくなった。
相良剛は本当にお兄さんみたいだ。
彼女を車に乗せた後も、相良剛は注意を促した。「これからは一人でこんな遅くまで出歩かないで。ここは危険だから。」
海野桜は頷いた。「わかった、次からは気をつけます。」
「早く帰って休んで。安全に着いたら、メッセージを送ってね。」
海野桜はこんなに気遣いのできるお兄さんに会ったことがなかった。笑顔で「はい、あなたも気をつけてね。今度機会があったら、私がご飯を奢るわ。」
相良剛も笑顔になった。「いいね、その時は連絡しよう。」
「うん!」海野桜は手を振り、相良剛も笑顔で手を振り返した。
海野桜がホテルに戻ったのは、夜の9時過ぎだった。
部屋のドアの前でカードをスワイプし、ドアを開けようとした瞬間、後ろから誰かが入ってきた!
海野桜は驚いて振り返ると、東山裕だった。彼女は冷たく言った。「何か用?」