彼らが本当に離婚するなんて思いもしなかった。
そう思うと、林馨は心の中の喜びを抑えきれなかった。
彼らの離婚を望むべきではないと分かっていた。
でも、本当に期待していて、とてもとても期待していたんだ!
東山裕のことが忘れられないから……
彼のことを考えると、林馨は激しく鼓動する心臓に手を当て、口角に再び浅い笑みを浮かべた。
……
海野桜はドアを閉めると、床に落ちたバラの花を拾い上げた。
バラの花は先ほど床に落ちて、踏みつぶされていた。
海野桜はため息をつき、もう要らないと思い、ゴミ箱に捨てた。
それから彼女はパジャマを持ってお風呂に入りに行き、相良剛に無事を知らせるメールを送るのを忘れてしまった。
相良剛は待ち続けても彼女からのメールが来ず、少し落ち込んでいた。
彼は自分から連絡しようと思ったが、すぐに任務に就かなければならなかったため、諦めた。
海野桜が彼に連絡しようと思い出した時には、相良剛の携帯電話はすでに電源が切れていた……
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あの夜、東山裕と喧嘩して以来。
海野桜は彼にほとんど会っていなかった。
時間はすでに2日が経過していた。
この数日間、海野桜はあちこち散策したり、部屋で映画を見たりして過ごしていた。
東山裕は仕事に没頭し、まるで彼女の存在を完全に忘れてしまったかのようだった。
もし山田大川に今回の入札に彼女が必要だと確認していなかったら、とっくに荷物をまとめて出て行っていただろう。
最終入札は3日後で、成功すれば東山裕の会社はすぐにアメリカで足場を固めることができる。
だからこの入札のために、みんな真剣に努力し、全力を尽くしていた!
一番暇なのは海野桜だった。
彼女は何もできず、一緒に遊んでくれる人も、話し相手もいなかった。
海野桜は生まれ変わってから、性格が随分良くなっていた。我慢しようと決めた!
入札が成功したら、すぐに帰りの航空券を買おう!
……
あっという間に、入札前日となった。
夜の帳が下りる頃、東山裕が海野桜の部屋のドアをノックした。
ドアを開けて彼だと分かり、海野桜は少し驚いた。「何かご用ですか?」
「中で話そう!」東山裕は冷たい表情で部屋に入り、そのままソファーまで歩いて座った。