しかし、お爺さんの態度は固かった。
彼女がどう言っても、彼らの離婚に同意しなかった。
海野桜は彼と大声で口論することもできず、お爺さんは血圧が良くないので、彼を怒らせたら大変なことになるかもしれない。
だから彼女はゆっくりと進めるしかなく、いつか必ずお爺さんを説得して離婚に同意してもらえると信じていた。
しかし、次に起こったことで彼女は落ち込んでしまった。
お爺さんが彼女を追い出そうとしたのだ!
「裕も帰ってきたんだから、桜も一緒に帰りなさい。長く実家にいるのは体裁が悪い。もう荷物も片付けさせたから、今すぐ裕と一緒に帰りなさい。もう遅いから、早く帰って休みなさい。」
海野桜は残りたくても無理で、このように追い出されてしまった。
仕方ない、今は離婚もできないし、とりあえず東山裕と一緒に住むしかない。
どうせ一緒に住んでも肉が減るわけじゃない。
……
東山裕と海野桜は後部座席に座っていた。
帰り道、海野桜はずっと窓の外を見て、彼を空気のように扱っていた。
東山裕は夜にかなりお酒を飲んでいて、頭を支えながら物憂げに彼女を見て、「海野桜、話をしよう」と言った。
「何を話すの?」海野桜は振り向きもしなかった。
「後頭部に向かって話すのか?」
海野桜は仕方なく彼の方を向いたが、表情は無感情だった。「言って、なぜまた突然離婚に同意しなくなったの?」
東山裕は姿勢を正し、低い声で言った。「前から言っているだろう、私たちにとって離婚はそう簡単じゃないって。」
海野桜は冷笑した。「そんなに難しいとは思わないわ。あなたが同意すれば、いつでも離婚できるはず。」
「お前の爺さんが同意しないだろう。」
「あなたが離婚に同意すれば、お爺さんだって同意するはず。あなたが同意しないから、お爺さんも同意しないのよ。」
東山裕は深い眼差しで彼女を見つめ、少し口角を上げた。「ああ、確かに俺も同意しない。」
「どうして?」
「会社がアメリカで上場してから、株価は百倍以上に上がった。お前もよく知っているはずだ。」
海野桜は理解できなかった。「それがどう関係あるの?」
東山裕は椅子に寄りかかり、淡々と言った。「今の俺の資産価値も、以前の何倍にもなっている。これからも会社はさらに大きな発展の余地があり、つまり、さらなる利益を得ることになる……」