第114章 彼女の唾液で濡らされた

むしろ意図的に冷たい態度で。

東山裕は無表情で頷き、何も言わなかった。

山田大川は東山裕のためにランチを用意し、丁寧に彼の前に置いた。「社長、お昼ご飯です。」

海野桜は彼のトレイの食事を見て、少し驚いた。

東山裕も社員食堂で食事をするの?

でも、彼はいつも個別に注文していたはずなのに。

東山裕は本当に箸を取って食べ始め、食堂にいる社員全員が驚愕した。

社長が社員食堂で食事をするなんて!

きっと奥様のために来たんだ!

海野桜は彼と一緒に食事をしたくなかったが、すぐに立ち去ることもできず、東山裕の面目を潰すわけにはいかなかった。

まだ離婚手続きが済んでいないし、名目上は夫婦なのだから。東山裕は大企業の社長だし、彼女がどんなに鈍感でも外では彼の面子を立てなければならないことくらいわかっていた。