「それに、彼女から学びたくないわ。たとえ何もできなくても、彼女の好意なんて一切受け入れない!」
ある人を憎むと、それはもう憎むしかない。
正しいか間違っているかに関係なく、彼女は笑って水に流すことができなかった。
ただ会わないようにして、永遠に距離を置くことしかできなかった。
林馨に対して、彼女はそうだった。
東山裕は理解できずに言った。「本当に分からないよ。なぜ林馨をそんなに憎むんだ。以前の敵対心は理解できたけど、今はいったい何のため?」
彼はもう林馨とほとんど接触していないのに。
そして彼女はもう彼のことを愛していないのに、まだ嫉妬しているのだろうか?
海野桜は彼を見つめ、意味深に言った。「ある人は、気に入らないものは気に入らない。一生気に入らないの」
東山裕は腕を組んで、意地悪く笑った。「僕のことも含めて?」
「そう」海野桜は素直に認めた。
東山裕は怒る様子もなく、淡々と言った。「気に入らなくても見なければならない…」
特に彼のことは、気に入らなくても一生見続けなければならない!
林馨については…
「林馨から何かを学ぶ必要はない。彼女はただ君の仕事が合格か不合格かを審査するだけだ」
そうすることでしか、彼女は意地を張って潜在能力を引き出すことができないのだから。
海野桜は眉をひそめた。「だから、わざと彼女に私を苛立たせようとしているの?」
東山裕は面白そうに言った。「僕はてっきり、毎日僕を苛立たせているのは君だけだと思っていたよ」
「それなら、離婚すればいい」
「じゃあ、早く僕と離婚できるように頑張れ!」
海野桜は本当に腹が立って痛くなった。「待っていなさい。必ず離婚してやる。約束するわ!」
東山裕は黒い瞳を深く沈ませて言った。「待っているよ」
「ふん…」海野桜は冷笑して、背を向けて立ち去ろうとした。
「ちょっと待って」東山裕は突然彼女を呼び止めた。
海野桜は冷淡に振り返った。「何?」
男は振り返って彼女の社員証を取り、来て直接彼女の首にかけてやった。
彼は社員証を握りながら、彼女の証明写真を見て淡々と言った。「海野桜、君は今東山の社員だ。社長として、会社の精神を伝えなければならない。それは、決して諦めないということだ!」