デザインのことが分からないなら、何も分からないのだから、彼女から見れば余計な口出しはするな!
さらに重要なのは……
彼女の心の中には不安と嫉妬が潜んでいた。
海野桜の才能は、彼女の予想を完全に超えていた。
このまま続けば、彼女はとても優秀になってしまう……そうなれば、能力でさえ彼女に及ばなくなる。
そう、年齢も、容姿も、雰囲気も海野桜には勝てない。海野桜の家柄だけでも、彼女を完全に圧倒していた!
彼女が唯一誇れるのは、優秀で有能なことだけだった。
これこそが海野桜に完全に勝っている点であり、ダメ人間の海野桜には到底及ばないものだった。
しかし、海野桜がデザインにこれほどの才能があるとは思わなかった!
もし彼女も優秀になったら、何で彼女と競えばいいの?
社長が離婚した後、何を理由に彼女に目を向けてくれるの?
一生彼に近づく機会も、一緒になる機会もないじゃない!
だから不安になり、海野桜をより一層嫌いになり、つい意地悪な言葉を投げかけてしまったのだ。
そうしなければ、将来本当にチャンスがなくなってしまうのが怖かった!
海野桜が自分の言葉で学習を諦めたと思っていたのに、何事もなかったかのように戻ってきた。
林馨は彼女を一瞥した。
海野桜の真剣な様子に、彼女の気持ちはより一層イライラした。
でも、もう何もできない。海野桜は社長夫人という身分で、それは彼女には越えられない階級の壁なのだ!
だから彼女にできることは、実力で勝負することだけ!
海野桜が頑張るなら、彼女は倍努力する!
実力で完全に海野桜を打ち負かし、社長に認めてもらいたい。
今回の施設の新しい建物のデザインで、東山裕は密かに林馨に、海野桜のデザイン案しか採用できないと命令を下した。
林馨は考えた。
もし彼女のデザイン案が海野桜のものを完全に打ち負かし、社長が当初の計画を諦めて彼女の案を選ばざるを得なくなったら、それは彼女の能力が社長の心の中での海野桜の地位を超えたことを意味するのではないか?
社長の心の中での彼女の地位も上がるはず。
社長の彼女を見る目も絶対に変わるはず!
変われば、感情も少しずつ変化していくでしょう……
海野桜は社長と合わないし、彼らはいずれ離婚するはず、そうなったら……
そう考えると、林馨は心の中の喜びを抑えきれなかった。