第120章 明らかに愛情

人はどこに行ったの?

東山裕と山田大川は至る所を探し回った。休憩室にも誰もおらず、どこにも見当たらなかった……

最後に清掃員に会って、やっと海野桜が図書室に行ったことが分かった。

東山ビルはとても大きく、全ての部署と施設が揃っていた。

最も素晴らしいのは、各階に小さな図書室があり、社員がいつでも学習や資料を調べられるようになっていることだ。

海野桜は何も分からないまま、資料を調べるつもりで来たものの、どの本を見ればいいのかも分からなかった。

結局、パソコンも一緒に持ってきた。

分からないところは、直接パソコンで調べることにした。

東山裕が入ってきた時、彼女は隅で資料に集中していた。

彼女の手元にはコーヒーが置いてあったが、もう飲み干されていた。

東山裕は深い眼差しで彼女を見つめ、海野桜がこんなにも真剣な時があることを初めて知った。

「昼食をここに持ってきて」東山裕は山田大川に低い声で指示した。

「はい!」後者は頷いて出て行った。

東山裕は海野桜の隣に座り、彼女が読み終えた資料を手に取って目を通した。

分からないところには、全て印がつけられていた。

海野桜は突然彼の存在に気付き、驚いて小さな声を上げた!

「びっくりした!いつ来たの?」

男は低い声で言った。「今さっきだ。なぜ食事に行かないんだ?」

「お腹が空いてないから」海野桜は資料を見続け、彼を見る一瞬さえも時間の無駄のように思えた。

「空いてなくても食べないと。コーヒーだけじゃだめだ」

海野桜は答えなかった。答える暇がなかった。

東山裕は突然不機嫌になった。こんなに魅力的な顔なのに、彼女の手元の資料にも及ばないとは?!

「どのくらい理解できた?今日は特に用事がないから、分からないところは私に聞けばいい」彼は再び口を開いた。

海野桜は顔も上げずに「パソコンで調べれば十分です」と言った。

「……」なんと、パソコンにも劣るとは!

「パソコンで必ずしも欲しい答えが得られるとは限らないだろう?人から説明を受ければ、より理解しやすく、覚えやすいはずだ!」

海野桜はようやく不思議そうに彼を見た。「社長、暇なんですか?それに、なぜそんなに親切にするんですか?」

東山裕は胸が詰まった。今日は用事がないと言ったじゃないか!