第126章 私を兄と呼ぶな!

海野桜は午後会社を出てから、ずっと家に帰っていなかった。

彼女の携帯電話も電源が切れていて、連絡が取れなかった。

東山裕は彼女がどこに行ったのか分からず、家で何度も電話をかけ続け、焦りながら待っていた。

外は既に暗くなっていた。

東山裕が外に探しに出ようとした時、柴田治人から電話がかかってきた。

海野桜が事故に遭って病院にいると知った瞬間、彼の心は締め付けられ、すぐさま病院へ駆けつけた!

東山裕が到着した時、柴田治人は既に先に着いていた。

彼らは病室の中にいて、海野桜だけがベッドに横たわり、頭に包帯を巻かれ、意識不明の状態だった!

東山裕は大股で病床に近づき、身を屈めて心配そうに海野桜の怪我の具合を確認した。

「一体どうなったんだ?」彼は陰鬱な表情で尋ねた。

柴田治人は橋本友香を一瞥し、彼を慰めた。「詳しい状況は私もまだ聞いていません。でも嫂さんの怪我は深刻ではなく、医者は一晩休めば大丈夫だと言っています。」

「なぜ怪我をしたのか分からないのか?」東山裕は眉をひそめて顔を上げた。

「彼女に聞いてください。」柴田治人は橋本友香に向かって示した。

東山裕は橋本友香を見つめ、その眼差しは冷たかった。

橋本友香は長年彼と会っていなかったが、今の彼の威圧感は以前より増していた。

昔、子供の頃、彼女は柴田治人と一緒に何度か彼に会ったことがあった。

その時の東山裕も冷たく、彼に会うたびに緊張していた。

今は、さらに緊張が増していた。

「東山様、こんにちは……」

「君が橋本友香か?」東山裕は疑わしげに眉をひそめた。「なぜ海野桜と一緒にいたんだ?一体何があったんだ?」

「私と桜さんは前回飛行機で知り合いました。今日は私たちの学校に遊びに行く約束をして、それから……」橋本友香は正直に経緯を詳しく説明し、何一つ隠すことはなかった。

東山裕は事の顛末を聞き、さらに険しい表情になった。

海野桜は本当に命知らずだ。強姦犯と戦うなんて、もし……

結果を考えると、東山裕は恐ろしさと怒りを感じた。

もし彼女に何かあったら、彼は人を殺してしまうかもしれない。

「犯人の顔は見えたか?」彼は冷たい声で尋ねた。

橋本友香は首を振り、また頷いた。「はっきりとは見えませんでしたが、私は疑っています、疑っているのは……」

「誰だ?!」