第133章 もう誰も愛したくない

東山裕が電話に出ると、海野桜は直接言った。「ただ一言だけ伝えたくて。もう会社には行かないつもりよ。これからは自分の家で暮らすわ。設計図は完成させるから、あなたの助言と指導に感謝してるわ。この課題は絶対に提出するつもりだから。採用するかどうかは、どちらでもいいわ。離婚するまでの間、必要な協力があれば、引き続き協力するわ」

向こう側の東山裕は低い声で「分かった」と一言だけ答えた。

「それと...」電話を切られそうで、海野桜は慌てて声を出した。「一つ相談があるの。柴田治人の妹の橋本友香が、施設の建設過程を撮影したいと言ってて、東山内部での取材が必要になると思うから、あなたの許可が欲しいの」

「図面は君のだけを採用する」東山裕は質問に直接答えず、そう言って電話を切り、無表情で顔を上げて山田大川に合図した。「続けて」