第146章 犯したのは原罪

子供を失った彼女は、東山裕がいつ自分を見捨てるのではないかと不安で落ち着かなかった。

それ以来、彼女はより敏感で疑い深くなり、気性も荒くなった。

最初のうち、東山裕は彼女を許し、理解しようとしていた。

結局のところ、子供を失ったばかりで、気分が悪いのは当然だった。

残念ながら犯人を捕まえることができず、林馨を告発することはできなかった。

海野桜は度重なる過剰な行動を取り、林馨を誘拐させたり、脅したりと、一連の違法行為を行った。

東山裕はどんなに我慢強くても限界に達し、彼女を完全に嫌悪するようになった。

その結果、彼女が何をしても、彼の目には気に入らなくなった。

海野桜は何度も裏目に出て、まるで賭博者のように、どんどんエスカレートしていった!

悪循環の末、ついに彼女は取り返しのつかない道を選び、林馨を轢き殺そうと考えるまでに至った!

当然、彼女の人生は悲惨な結末を迎えることとなった。

……

前世も、そして今世の今日まで、海野桜は前世で起きたすべてが自分自身が引き起こしたものだと思っていた。

何度も考えた。もし流産後、林馨を疑わず、彼女に報復し続けなければ、事態は違っていたのではないかと。

しかし今日になってようやく分かった。たとえ彼女が報復しなくても、林馨は別の方法で彼女の悪意を引き出していただろうということを!

なぜなら流産の件は彼女が首謀者で、彼女がやったことだから!

あの犯人は大野健志だった!

今、彼らが知り合いで、しかも並々ならぬ関係にあることが確認できた以上、前世の流産が林馨の陰謀でないとは、死んでも信じられない!

林馨が密かに行っていたことを確認し、海野桜はさらに確信した。林馨は常に裏で策を弄していたのだと。

彼女は賢かった。直接手を下すことは決してなく、彼女を流産させた件以外は何も悪事を働かず、誰も疑うことができず、把柄を掴むこともできなかった。

しかし彼女の行為は、直接的な犯罪以上に許し難いものだった!

なぜなら彼女は犯罪を誘導していたのだから!

彼女は海野桜の性格を知っており、それを完璧に利用した。

海野桜にとって最も大切な人は東山裕だった。

海野桜が彼女を妬みさえすれば、絶え間なく騒ぎを起こし、時間が経てば世界中が海野桜を悪女だと認定するようになる。