第147章 海野桜とすれ違う

二人とも間違っていた。

彼女はあんなに衝動的でわがままであってはいけなかった。そうでなければ、林馨に利用される機会を与えることもなかったはずだ。

結局のところ、彼女の世界観が単純すぎて、学んだ知識も少なすぎたのだ。

もし彼女に十分な見識があれば、林馨に簡単に操られることもなかったはずだ。

そして、彼女に見識と自己認識が欠けていたのは、東山裕のことばかり考えていたからだ!

だから前世であんなに失敗した人生を送ったのも、彼女の責任だった。

もちろん、林馨の過ちが一番大きい!

彼女の本性を知った今、海野桜は二度と彼女に利用される機会を与えないつもりだ!

そう考えると、海野桜の目に決意の光が宿った。

林馨、今度の人生では私を踏み台にして這い上がることなんてできないわよ、絶対に!

海野桜は涙を拭い、もう泣くのをやめた。

ポケットの携帯が鳴り続けていた。取り出してみると東山裕からの着信で、すぐに切った!

電話が再び鳴り、海野桜はまた切った!

彼女が電話に出ないことを悟ったのか、東山裕はもう電話をかけてこず、代わりにメッセージを送ってきた。

【どこにいるの?】

海野桜は返信しなかった。

橋本友香も何度か電話をかけてきて、メッセージも送ってきた。

海野桜は自分が大丈夫だという内容のメッセージを返し、心配しないでと伝えた。

そして電源を切ろうとした時、また携帯が鳴った。

今度電話をかけてきたのは東山裕ではなく、相良剛だった!

……

東山裕の豪華なブガッティは道路を探し回っていた。

海野桜は走り出した後、姿を消してしまった。

彼女の電話にずっと繋がらないので、車で探しに出たのだ。

しかし、どこを探しても海野桜は見つからなかった。

福岡市は広く、交差点も多い。

東山裕の車は信号で止まり、次にどちらに行くべきか分からなかった。

もし方向を間違えれば、海野桜とすれ違ってしまう可能性がある。

しかし彼女がどこにいるか分からないので、浜田家の方向に向かうしかなかった。もしかしたら海野桜は帰っているかもしれない……

青信号になり、東山裕の車は左に曲がった。しかし、右側の少し先の歩道にいる海野桜には気付かなかった。

海野桜はバス停に座り、十数分ほど待っていると、突然威風堂々とした軍用四輪駆動車が目の前に止まった。