「本当に捨てたの?どうしてそんなことするの?私の子犬なのに、なんで捨てたの?どこに捨てたの?」
海野桜は心配で仕方がなかった。もし子犬が外で餓死したり、車に轢かれて死んでしまったらどうしよう?
東山裕は無表情で「要らないと思ったから、捨てた!」
「要らないなんて言ってない……」
「要るなら、なぜ一人で離れた?なぜ電話に出ない?なぜ無視する?!」東山裕は怒りを抑えながら詰問した。
確かに彼は怒っていた。
彼女は今日、突然怒り出すだけでなく、彼に長時間探させ、待たせた。
さらにひどいことに、他の男と一緒にいたのだ!
しかも他の男に笑顔を向け、頭を撫でられることまで許していた!
以前は彼のことだけを愛し、目に映るのは彼だけだったはずなのに?
今、他の男と親しくしているのは何のつもり?