第153章 1銭も分けてもらえない

翌日、浜田家と東山家は福岡市最大のホテルで、豪華な個室を予約した。

浜田家からは四人が来ていた。浜田統介、海野桜、そして浜田夫婦だ。

海野桜には分からなかった。彼らが来る必要があるのか、彼女と祖父だけで十分なはずだった。

東山家からは三人、東山裕と両親が来ていた。

今日、両家が集まったのは、二人の離婚について話し合うためだった。

大家族というのは面倒なもので、離婚も簡単にはいかず、様々な協議や調整が必要だった。

しかし海野桜には自信があった。東山裕とスムーズに離婚できるはずだと。

第一に、祖父が彼女の味方だった。

第二に、東山裕の両親は理性的で、物分かりの良い人たちだったので、彼女を困らせるようなことはないはずだった。

第三に、東山裕も離婚に同意しているのだ。

海野桜はホテルを出たら、すぐに離婚手続きに行けると思っていた。