翌日、浜田家と東山家は福岡市最大のホテルで、豪華な個室を予約した。
浜田家からは四人が来ていた。浜田統介、海野桜、そして浜田夫婦だ。
海野桜には分からなかった。彼らが来る必要があるのか、彼女と祖父だけで十分なはずだった。
東山家からは三人、東山裕と両親が来ていた。
今日、両家が集まったのは、二人の離婚について話し合うためだった。
大家族というのは面倒なもので、離婚も簡単にはいかず、様々な協議や調整が必要だった。
しかし海野桜には自信があった。東山裕とスムーズに離婚できるはずだと。
第一に、祖父が彼女の味方だった。
第二に、東山裕の両親は理性的で、物分かりの良い人たちだったので、彼女を困らせるようなことはないはずだった。
第三に、東山裕も離婚に同意しているのだ。
海野桜はホテルを出たら、すぐに離婚手続きに行けると思っていた。