海野桜は恥ずかしそうに笑って言った。「まだ決めていないの。よく考えてから話すわ」
彼女の人生は他人とは違い、簡単には出口が見つからない。何に対しても迷いと疑問を抱えているから、しっかりと考える必要があった。
「何を学ぶにしても、あなたならきっとうまくいくわ。頑張って!」橋本友香は彼女を励ました。
「うん!」海野桜は笑顔を見せ、心も希望に満ちあふれた。
未来の違った、素晴らしい、新鮮な生活に、希望を抱いていた。
しかし、彼女の良い気分は長く続かなかった。
橋本友香と別れた後、海野桜が家に帰ると、伯父と伯母もいた。
「桜、こっちに来なさい。今日、東山裕とどんな話をしたの?まだ離婚するつもり?」張本花江は彼女を見るなり尋ねた。
海野桜は頷いた。
浜田英司は不機嫌そうに眉をひそめた。「お前はまだ離婚するつもりか?言っておくが、たとえ離婚するにしても、東山家からの補償金は絶対に少なくしてはいけないぞ!」
張本花江は頷いて言った。「桜、こっちに来て、具体的にいくら要求するか相談しましょう……」
「必要ありません」海野桜は彼らの言葉を遮り、浜田統介の方を見て、躊躇いながら言った。「おじいちゃん、私、東山裕と既に離婚手続きを済ませました。私たち、離婚したんです」
「なんですって?!」張本花江と浜田英司は驚いて叫んだ。
浜田統介も驚いたが、すぐに平静を取り戻した。「本当なのか?」
「はい、私がどうしても行きたいと言ったので、彼も一緒に手続きに行きました。申し訳ありません、おじいちゃんに相談もせずに勝手に決めてしまって。でも、私はどうしても彼と離婚したかったんです。おじいちゃんが怒っても、離婚するつもりでした。それと、彼は無制限の小切手をくれたんですけど、私は破って受け取りませんでした」
「桜、お前は……」浜田英司は怒り出した。「こんな大事なことを、なぜ私たちに相談しないんだ?!私たちをまったく眼中に入れていないのか?!海野桜、お前は本当に分別がない、やり過ぎだ!」
海野桜には理解できなかった。離婚して、慰謝料も要求しないのに、どうしてやり過ぎなのだろう?