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離婚手続きはとても早く済んだ。
海野桜は離婚証明書を手に取り、突然心も体も軽くなったように感じた。
心の中は、無限の感慨で満ちていた……
「ありがとう、これからはもう二度と邪魔はしないわ」彼女は東山裕を見つめ、淡々と言った。
男は終始無表情で、その感情を読み取ることはできなかった。
彼は白紙の小切手を取り出し、彼女に渡した。「これは補償金だ。金額は好きなように書いていい」
海野桜はそれを受け取り、すぐに引き裂いた。「あなたは私に何も借りていないわ。これからは互いに借りも貸しもなしよ」
「それがいい!」東山裕は振り向いて立ち去った。
「ちょっと待って……」海野桜は追いかけて、「施設の設計、私はもうする必要がないと思うの。でも橋本友香は……」
「他の人を探す。彼女が撮影を続けるかどうかは勝手にさせろ」東山裕は彼女を一瞥もせずに言い、そのまま去っていった。
離婚を承諾して以来、彼の雰囲気はずっと暗かった。
彼女との会話も極力簡潔にし、一言も余計なことは言わなかった。
海野桜は分かっていた。彼は彼女に対して怒りを持っており、これからは彼女を見ても知らない振りをするだろう。でもそれはもう構わなかった。
これからは他人同士になるのも、良いことだった。
海野桜はその場に立ち、思わず頭上の空を見上げた。
陽の光は暖かく、眩しかった。
彼女は微笑んだ。今日から、彼女の人生のリセットが、本当の意味で始まるのだろう。
携帯を取り出し、海野桜は橋本友香に電話をかけた。「友香、時間ある?お祝いがあるの、一緒に飲まない?今日は嬉しいことがあって、お祝いしたいの」
橋本友香は何の嬉しいことなのか分からなかった。
レストランに着いて、やっと海野桜が離婚したことを知った!
橋本友香は信じられない様子で、「どうしてそんな急に離婚することになったの……」
海野桜は互いにワインを注ぎながら、笑って言った。「前から離婚すると言っていたでしょう」
「でもこんなに早いとは思わなかったわ。それに東山裕はとても良い人だったし、迷うかと思ってた……」
「彼は確かに良い人よ。でも私は迷わなかった」海野桜はワイングラスを持ち上げ、「さあ、私の人生のリセットを祝って、乾杯!」
橋本友香は笑い出した。「これがリセット?」