第157章 彼女を引き止める言い訳が見つからない

この告白の言葉は、海野桜が前世で夢にも思っていたものだった。

でも今は聞きたくない……

全く聞きたくない!

彼を見つめながら、海野桜は一言一句はっきりと言った。「東山裕、申し訳ないけど、もう遅すぎるわ」

周りの空気が、一瞬で凍りついたようだった。

東山裕は何故か呼吸が困難に感じた。

海野桜は冷淡な態度で、「本当に遅すぎたの」

「僕に対して何の感情もないなんて信じられない!」東山裕は突然怒鳴った。「海野桜、僕に対して一片の感情もないって誓えるのか!」

海野桜は手を上げ、躊躇なく言った。「お爺さんの命にかけて誓うわ。もうあなたのことを全く愛していないって」

「……」東山裕の顔色が、さっと青ざめた。

心臓が誰かに掴まれているかのように、いつ破裂してもおかしくないほど痛かった!

これが彼にとって初めて、心の痛みを知る経験だった……

そして初めての告白で、こんな大きな打撃を受けた。

東山裕の頭の中は一時真っ白になり、どう反応すればいいのか分からなかった。

海野桜は淡々と言った。「これが私があなたと離婚したい理由よ。今なら信じてくれる?」

「海野桜……」東山裕の声は低く掠れ、抑えた痛みを含んでいた。「7年も僕に執着して、これが僕に与える結末なのか?」

海野桜の目が微かに揺れた。「私たちは縁がなかったのね。私はちょうど7年待っただけ。あなたの好きという気持ちが遅すぎたの」

「一生僕を愛すると言ったじゃないか!」東山裕は怒りを抑えきれず低く吼えた。「お前が言ったんだ、一生って!」

「一生なんてできないわ。死んでもできない!」

「……」

海野桜はもうこれ以上彼と議論したくなかった。淡々と言った。「言うべきことは全て言ったわ。これ以上こだわっても意味がない。もちろん、あなたが離婚したくないなら構わないわ。私にはどうでもいいの。だって私の心の中では、もう私たちに何の関係もないから。でも、やっぱり離婚をお願いしたい。離婚に同意してくれない?」

【東山兄、私と結婚してくれませんか?】

かつて、若かった彼女も、こうして彼に懇願していた。

今では、彼女は離婚を懇願している……

東山裕はとても皮肉に感じた。

彼の自尊心は、これほどまでに踏みにじられたことはなかった。一度もなかった!

なのに、なぜこんなにも未練がましく諦められないのか……