第156章 あなたと一緒にいたい

これは海野桜が今まで感じたことのないキスだった。

情熱的で、すべてを投げ出すようなキス。

前世で何度も夢見たキス。

前世では、命を懸けて愛しても得られなかったキス……

皮肉なことに、今世では、最も欲しくない時に手に入れてしまった。

この瞬間、海野桜の脳裏には、前世の様々な場面が浮かんだ。

最も鮮明に、最も痛ましく覚えているのは、彼女が自殺した日のことだった。

【裁判所は既に離婚を言い渡した。来月、私は馨と結婚する。今日ここに来たのは、それを伝えるためだけだ。】

東山裕のその時の冷酷な言葉は、死刑宣告を聞いた時よりも、彼女を苦しめ絶望させた。

彼は知っていた。来月、彼女が銃殺刑に処されることを。

それなのに彼と林馨の結婚式は、その時期に設定されていた。

彼の目には、彼女は何の価値もなく、何の感情も持っていなかった。

彼女の死に、彼は悲しむどころか、むしろ喜んでいたのだろう。

そうでなければ、なぜそんなに急いで林馨と結婚しようとし、彼女の死を避けようともしなかったのか?

死刑判決を受けても、彼が助けてくれなくても、まだ彼への未練があった。

でもその日、彼女の心は完全に死んだ。

心が死んだ瞬間、人としても死ぬべきだった。なぜなら、あの海野桜は、彼を愛するためだけに生きていたのだから。

彼を愛せなくなった今、生きていく意味もなくなった……

彼女は命を懸けて、彼への愛を終わらせた。今世では、本当に誰も愛することはないだろう。

本当に愛なんてもうない……

このキスですら、彼女の心に一片の波紋も起こさなかった。

海野桜は最初は抵抗していたが、抵抗しきれず、諦めてしまった。

東山裕は彼女の様子がおかしいことに気づき、少し離れたが、彼女の冷淡で感情のない眼差しと出会った。

彼の心は突然沈んだ。

海野桜は彼を押しのけ、息を整えながら言った。「分かったでしょう?私はもうあなたに何の感情もないわ。本当にあなたを愛していない、嘘じゃないの。」

「……」

「私はあなたに何の感情もない。何をしても無駄よ。まだ離婚したくないの?」

東山裕は彼女をじっと見つめ、薄い唇を固く結び、まるで彼女の言葉を信じられないかのようだった。