第196章 少爺の世話を頼む

以前、彼が嫌っていた海野桜の執着的な態度のすべて。

今思えば、意外と大切なものに思える。

今の彼には、もう手に入れることのできない贅沢な願い……

東山裕は突然、自嘲的に笑い出した。

一体自分はどうしたんだろう、どうして急に海野桜の毒にやられてしまったのか。

それもこんなにも深く……

……

海野桜は疲れて家に帰り、祖父の相手をした後。

二階に上がってシャワーを浴び、食事もせずにそのまま寝てしまった。

今日は本当に驚かされることが多すぎた。

永遠に眠っていたかった。

目が覚めた時には、もう翌朝になっていた。

祖父が既に無くなった教科書と携帯電話を揃えてくれていた。

「ありがとう、おじいちゃん!」海野桜はお爺さんを抱きしめると、楽しそうに授業に向かった。

昨日起きた大規模強盗事件は、全国の人々が知ることとなった。