彼も本当に7年もかけて彼女の心を取り戻そうとは思わず、その時間を無駄にしたくなかった。
ただ自分を抑えて、できるだけ段階的に進むしかなかった……
でも、こうして我慢するのは本当に苦しかった。
しかし、黙って耐えるしかなかった……
東山裕は病室の入り口で暫く立ち止まってから、背を向けて去った。
柴田治人は今夜、林馨の看病を続けることにし、東山裕は去る前に彼に注意を促した。
「彼女が目を覚ましたら知らせてくれ」
柴田治人は軽く頷いた。「分かっています」
東山裕はもう何も言わなかったが、すぐには立ち去らず、病院に一つの指示を出した。
しばらくして、橋本友香の病室のドアがノックされた。
海野桜は不思議に思いながらドアを開けると、入り口に立っていた看護師が言った。「浜田さんですか?この病室にベッドを追加しに来ました。東山様のご指示です」
海野桜は少し驚いたが、東山裕の好意を断ることはしなかった。
わざとらしく断る必要もなかった。
ベッドがあれば、夜もゆっくり休めるのだから。
ただ、この夜、柴田治人は一度も橋本友香を見舞いに来なかった……
海野桜は彼がここまで橋本友香に冷たくなれるとは思わなかった。
また、彼らの間に一体何があったのか気になった。なぜなら柴田治人は決して冷血な人間には見えなかったから。
なのになぜ、彼は橋本友香にこれほど冷たいのか?
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波乱の一夜が、ようやく過ぎ去った。
一晩中点滴を打ち、橋本友香の体調は大分良くなり、体も概ね問題なくなっていた。
彼女は洗面を済ませると、また甘く活力に満ちた笑顔を見せた。
「桜ちゃん、昨夜は本当にありがとう。あなたがいなかったら、私一人でここにいるのは寂しかったわ。ありがとう!」橋本友香は深く感動して、大きな抱擁を彼女に与えた。
海野桜は笑って言った。「大丈夫になってよかったわ。そんなに気を遣わないで」
「でも、こんなに看病してくれて、本当に感動したの」橋本友香は彼女をきつく抱きしめ、目の奥の涙をこらえようと努めた。
しかし海野桜にとって、これは大したことではなかった。
前世で彼女は橋本友香を死なせてしまった。今世でどれだけ償っても足りないと感じていた。
これくらいのことをするのは、あまりにも些細なことだった。