彼も本当に7年もかけて彼女の心を取り戻そうとは思わず、その時間を無駄にしたくなかった。
ただ自分を抑えて、できるだけ段階的に進むしかなかった……
でも、こうして我慢するのは本当に苦しかった。
しかし、黙って耐えるしかなかった……
東山裕は病室の入り口で暫く立ち止まってから、背を向けて去った。
柴田治人は今夜、林馨の看病を続けることにし、東山裕は去る前に彼に注意を促した。
「彼女が目を覚ましたら知らせてくれ」
柴田治人は軽く頷いた。「分かっています」
東山裕はもう何も言わなかったが、すぐには立ち去らず、病院に一つの指示を出した。
しばらくして、橋本友香の病室のドアがノックされた。
海野桜は不思議に思いながらドアを開けると、入り口に立っていた看護師が言った。「浜田さんですか?この病室にベッドを追加しに来ました。東山様のご指示です」