海野桜は病院を出て、突然誰かと話したくなった。
彼女は携帯を取り出して橋本友香に電話をかけた。「もしもし、友香、時間ある?ご飯でも行かない?」
「いいよ。でも今回は私が奢るわ!そうじゃないと行かないわよ」と橋本友香は冗談めかして笑いながら言った。
海野桜は微笑んで「わかったわ、奢ってもらうわ」と答えた。
二人は待ち合わせ場所を決めて、電話を切った。
海野桜が先にレストランに着き、橋本友香は数分遅れてやってきた。
「友香、ここよ!」海野桜は彼女を見つけて手を振った。
橋本友香が駆け寄って、向かい側に座り、笑顔で尋ねた。「桜、今日はどうして急に私とご飯に行きたくなったの?図書館で勉強してるかと思ってたわ」
「毎日勉強ばかりじゃ退屈でしょう。それに、私たち久しぶりに一緒にご飯食べてないし、今日は時間があったから会いたかったの」海野桜はメニューを渡して、「注文して。私はもう決めたわ」と言った。
「うん」
二人は注文を済ませて、おしゃべりを始めた。
話している途中、海野桜の携帯にメッセージが届いた。
東山裕からだった。
【どこにいる?家に帰ったの?】
彼にチャンスを与えようと思い、海野桜は普通に返信した。
【友香と外で食事してるわ】
【どこで食事してるの?】東山裕はすぐに返信してきた。
海野桜は正直にレストランの名前を返信した。
東山裕からはそれ以上メッセージは来なかった。
「誰とメッセージしてるの?」橋本友香は軽く笑いながら聞いた。「表情が変だったわよ」
海野桜は顔を上げて、不思議そうに笑った。「どこが変なの?」
「とにかく友達とのメッセージじゃないわよね。あなたに好意を持ってる異性でしょう?」
橋本友香の直感は鋭かった。こんなことまで感じ取れるなんて。
海野桜はわざと嘘をついた。「違うわ、勘違いよ」
橋本友香は純粋だったので、違うと言われれば本当だと信じた。「そう?男子学生の誰かがあなたを追いかけてるのかと思ったわ」
「そんなわけないでしょう」海野桜は賢く話題を変えた。「私なんかに追いかける男子なんていないわ。それより友香の方こそ、たくさんの男子に追いかけられてるんでしょう?」
確かに橋本友香は可愛くて綺麗で、性格も優しくて思いやりがある。
彼女のことを好きな男子は、きっとたくさんいるはず!