第201章 彼女の名を二度と口にするな!

海野桜は彼女に近づき、笑顔が冷たくなった。「あなたのすることは全て私を破滅させて、取って代わろうとしているからだと分かっているわ!」

林馨の顔が一瞬で真っ青になった!

彼女は少し恐怖に震えながら海野桜を見つめた……

まるで心の底の最も卑劣な考えを見透かされたかのように、思わず慌ててしまった。

しかしすぐに落ち着きを取り戻し、冷笑を浮かべた。「海野桜、これもまた私を攻撃するために仕掛けた罪なの?」

海野桜も冷笑した。「そうかどうか、あなたが一番分かっているでしょう!林馨、あなたは誰も騙せても、私は騙せないわ。私を踏み台にして這い上がろうなんて、一生夢のまた夢よ!私は絶対にあなたの罠にはまらない、あなたの目的も絶対に達成させない!」

「……」

何かを思い出したように、海野桜は笑い出した。「実は私が協力しなくても、あなたの目的は達成できないわ。今やあなたは清らかさを失った。この先一生、東山裕と結婚することはできないでしょう。」

林馨の顔色が、もはや抑えきれないほど蒼白になった。

この時、彼女の心は憎しみで一杯だった!

今日までこんな目に遭ったのも、全て海野桜のせいだ!

全て彼女のせいで、目的を達成できなくなった……

海野桜はもう彼女と話す気もなく、背を向けて立ち去ろうとした。

「海野桜——」林馨は彼女の背中に向かって叫んだ。「何を言っても無駄よ、あの夜の人は東山裕だわ、この事実は一生変わらない!私は一生彼のことを想い続ける、私は彼を愛してる——」

海野桜の足取りが一瞬止まったが、すぐにまた振り返ることもなく立ち去った。

彼女は急いで歩いた。でなければ、引き返して林馨を思い切り平手打ちしてしまいそうだった。

彼女と東山裕の関係が気になるからではない。

ただ彼女が本当に吐き気がするほど嫌で、殴り殺してやりたいほどだった!

海野桜はこれまで誰かをここまで嫌悪したことはなかった。

二度と見たくないほど嫌悪し、彼女に関する全てに関わりたくなかった。

もちろん、東山裕とも関わりたくなかった。

どちらに関わっても、もう一方のことを思い出してしまう。

だから両方とも関わりたくなかった、永遠に関わりたくない!

しかし、どうしても彼らから逃れることができない……