第207章 花海棠のピアス

高遠隆行は視線を戻し、苦笑いを浮かべた。「何を勝手に想像してるんだよ。ただ彼女が私の知ってる姉さんに似てるなと思っただけだ。それに、どこかで会ったことがある気がするんだ」

「会ったことがあっても無駄だよ。彼女には彼氏がいるし、条件もかなり良さそうだ。横取りは難しいぞ。もういいから、バスケやりに行こう!」友人は彼の首に腕を回して歩き出した。

数歩進んだところで、高遠隆行はまた振り返らずにはいられなかった。

そして突然、はっと気づいた!

やっと彼女の顔が見覚えがある理由が分かった。

あの銀行強盗事件の時、爆弾を付けられていた女の子は彼女だったんだ!

当時、彼も人質の一人で、彼女の縄を解いてあげたのだ。

ただ、その時の海野桜は目と口を覆われていて、顔がはっきりと見えなかった。その後は緊迫した状況で、さらに注意して見る余裕もなかった。