実は海野桜が彼を兄のように見ていて、他の気持ちは全くなかったからこそ、このように気楽に接することができたのだ。
「桜は学校で恋愛してるの?」相良剛が突然彼女に尋ねた。
海野桜は少し驚き、笑いながら首を振った。「してないわ」
「放課後に迎えに行った時、あの男子が君を追いかけているように見えたけど」相良剛は何気なく言った。
海野桜はしばらく考えてから、やっと晃という名前の男の子のことを思い出した。
「私、彼のことは知らないの。同級生で、私の顔を見覚えていて知り合いたいって言ってきたけど、私は知らない人だわ」
相良剛は彼女を見て、微笑んだ。「うちの桜は人気者みたいだね。恋愛する予定はある?」
海野桜は迷わず首を振った。「ないわ。興味もないし、したくもない」
「好きな人に出会ってないだけじゃない?出会ったらするかもしれないでしょう?」相良剛は探るように聞いた。