第209話 古い火薬の匂い

局長は心の中で文句を言いながらも、表面では丁寧な笑顔を保っていた。

「すでに交通課に調査を依頼しました。結果はすぐに出ますので、少々お待ちください」

東山裕と相良剛が彼の前に座っており、二人は終始お互いに一言も交わさなかった。

オーラは互いに引けを取らないほど強く、しかも反発し合っていた!

一目で二人の間に確執があることがわかった。

局長は賢明にも立ち上がり、「皆様こちらでお待ちください。私は少し用事を済ませてきます」

「ご苦労様です、局長」相良剛は軽く微笑んだ。

「いいえ、どういたしまして」局長は笑顔で退室し、ついでにドアを閉めた。

彼が出て行くと、すぐに部下が近寄ってきて、「局長、防犯カメラの映像が出ました。後ろの車が故意に追突したんです!」

「シーッ...」局長は慌てて声を低くするよう促し、中の人に聞こえないように気を付けた。「結果はしばらく保留にしておけ。聞かれたら、まだ調査中だと言え」