第228章 東山裕とのデート

東山裕はすぐに焦らなくなった。どうせ彼女を取り戻す自信があったし、彼女は彼のものでしかありえないのだから!

彼女の手を握りしめ、名残惜しそうに言った。「じゃあ、行くよ」

そう言いながらも、まだ彼女の手を離そうとしなかった。

海野桜は完全に困り果てた。「私、勉強に戻らないといけないの。早く行って」

「おやすみのキスは?」

「いや……んっ……」彼女の体が突然引き寄せられ、唇と唇が重なった!

……

夜が更けていた。

海野桜はずっと勉強に集中できないでいた。

手元の北京ダックは冷めていたが、まだ香ばしい匂いが漂っていた。

海野桜は北京ダックを見つめ、ついに勉強を諦めて食べることにした!

満足げに北京ダックを食べ終わると、彼女は寝に行った。

柔らかいベッドに横たわったが、寝返りを何度も打ってようやく眠りについた。きっと北京ダックを食べすぎたせいだ……

翌日は月曜日で、海野桜は早めに起きて授業に向かった。一日中忙しく、勉強というのは本当に頭を使う作業だった。

この日、東山裕からは連絡がなく、海野桜は静かな時間を楽しんでいたが、心の奥では明日の夜のデートを何となく楽しみにしていた。

火曜日、彼女の授業は多く、しかもすべて理系の科目だった。海野桜は大量のデータと公式に頭を悩ませ、東山裕とのデートのことも忘れていた。

放課後になって、突然東山裕から電話がかかってきて、やっとデートのことを思い出した。

「僕は今、君の学校の門の前にいるよ。いつ出てくる?」と東山裕が尋ねた。

海野桜は少し驚いて答えた。「すぐに出ていくわ」

「うん、待ってるよ!」

電話を切ると、海野桜は校門に向かって歩き出し、足取りも少し早くなった。まだ校門を完全に出る前に、遠くから東山裕の車が学校の正門の外に停まっているのが見えた。

豪華なロールスロイスは人目を引き、多くの学生が思わず密かに見物し、スマートフォンで写真を撮っていた。

幸い東山裕は外で待っていなかった。そうでなければ、見物人の数はもっと多くなっていただろう!

海野桜は彼と一緒に見物されたくなかった……

彼女は思わず足を止め、脇に隠れながら携帯を取り出して東山裕に電話をかけた。

「もしもし、出てきた?」東山裕は電話に出るなり尋ねた。