「東山様、お邪魔して申し訳ありません!林馨さんの件について警察署で調査にご協力いただきたいのですが、よろしいでしょうか!」警察官は来るなり直接言った。
ホテルで林馨が汚された事件は、今でも進展がない。
警察は東山裕の潔白を証明する証拠を見つけられなかった。
もちろん、東山裕が確実に犯人だという決定的な証拠もない。
そのため警察は今日、彼らを警察署に連れて行き、もう一度しっかりと事情を聴きたいと考えていた。
突然警察に邪魔されて、東山裕が食事を済ませたいと思っても、海野桜にはもう食欲がなかった。
彼女の林馨に対する嫌悪感は、その名前を聞くだけで気分が悪くなるほどだった。
東山裕は彼女の気持ちを理解し、仕方なく運転手に彼女を先に送らせ、自分は警察と警察署へ向かうことにした。
同時に、この件を早く解決しないと、確実に海野桜の自分に対する態度に影響が出ると思った!
海野桜を車に乗せる前に、東山裕は低い声で尋ねた:「海野桜、僕を信じてくれる?」
彼の毅然とした清々しい眼差しを見て、海野桜は淡々と言った:「実は、この件については、ずっとあなたを信じています。でも、もう私に関わらないでほしいです。私はこういった事に巻き込まれたくありません。」
言い終わると、彼女はそのまま車に乗り込み、ドアを閉めた!
「発車してください!」
「かしこまりました、浜田さん。」運転手はすぐに車を発進させ、海野桜は冷たく東山裕を振り返ることもなかった。
東山裕は彼女の横顔をずっと見つめ続け、表情は暗かった。
「東山様、車にお乗りください。」警察官が来て促した。
東山裕はスーツを整え、同じく冷たい表情でパトカーに乗り込んだ!
ただし、彼は犯罪者として連行されたわけではなく、事件が解明されるまでは、警察官たちは彼に対してとても丁寧で、礼儀正しく接していた。
東山裕が警察署に着いた時、林馨もすでに到着していた!
彼を見て、林馨の目には言いたげな、そして謝罪するような表情が浮かんでいた。
しかし東山裕の態度は冷淡で、まるで彼女のことを全く知らないかのようだった。
彼は以前、彼女にこんな態度をとることはなかった……
林馨は、彼女が東山に来たばかりの頃を思い出した。デザインコンテストで特等賞を取り、その後、彼の指導の下で一時期働く機会を得たのだ。