第232章 誰が海野桜を狙っているのか

しかし、彼女が急いで否定すればするほど、東山裕をかばおうとしているように見えた。

警察が何度も尋ねても、彼女は同じ答えを繰り返した。

林馨は重大な決断を下した。「告訴を取り下げます。もうこの事件の調査はいりません!真相なんて知りたくありません。どうあれ、私は諦めます!」

警察官は信じられない表情を浮かべた。

東山裕の口元に冷たい笑みが浮かんだ。

「林馨、正直に一つ答えてくれ!」彼は冷ややかに彼女を見つめた。「私が出て行った後、部屋のドアを開けたか?」

「開けていません!」林馨は考えもせずに答えた。「ドアは開けていません……」

東山裕は笑みを消し、目が険しく光った!

「ドアを開けていないなら、どうやって襲われたというんだ?私がやったかどうかは、私にはよくわかっている。ドアを開けていないのなら、この事件について、君は嘘をついているか、私を陥れようとしている可能性が高いな!」

林馨の顔が真っ青になった。「嘘なんてついていません。どうしてこんなことで嘘をつく必要があるんですか?」

東山裕は冷たく立ち上がった。「さあな?告訴を取り下げるなら、今すぐにした方がいい。さもないと、この件は徹底的に調査する。その時は、情けをかける余地はないぞ!」

そう言って、彼は背を向けて歩き出した。

林馨は一瞬呆然とし、顔色を変えて追いかけた。

「社長、本当に嘘はついていません……」彼女は必死に説明しようとした。

東山裕が新たに手配した車は、すでに警察署の前で待機していた。

運転手は彼を見るなり、恭しくドアを開けた。

彼は足を止め、冷淡に林馨の方を向いた。「明日、経理部で給与の精算をしてもらいなさい。違約金も会社から支払われる。他の報酬も含めて」

林馨は驚いて目を見開いた。「社長、それはどういう意味ですか?」

「君は解雇だ!」東山裕はそう言い捨てて車に乗り込み、去っていった。林馨はその場に立ち尽くしたまま、長い間この現実を受け入れることができなかった!

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海野桜は家に帰ると、普通に自室で勉強を始めた。

東山裕のことがどうなろうと、関わりたくなかった。

彼女はただ、自分がしなければならないことをしっかりとこなしたかった。それは前進の歩みを止めないことだった!

一方、東山裕は警察署を出た後、すぐには彼女を探しに行かなかった。