しかし、この件は非常に深刻で、重視しなければならない。
「おじいさん、この件は海野桜には当分言わないほうがいいと思います。勉強の邪魔になりますから。私が密かに人を派遣して彼女を守らせます」と東山裕が提案した。
老人は頷いて、「その通りだ。では頼むぞ」と言った。
「当然です」東山裕は立ち上がり、「上階に行って彼女の様子を見てきます」
「ああ、行ってくれ」老人はこの時、心配で一杯で、彼が何をしようとしているかなど気にも留めなかった。
東山裕は上階に行き、そっと海野桜の部屋のドアを開けると、彼女が机に向かって真剣に勉強している姿が目に入った。
彼が彼女の傍に来ても、彼女は気付かなかった。
海野桜は問題を解きながら、小声で公式を呟いていた。
東山裕は彼女の柔らかな横顔を見つめ、自然と表情が柔らかくなった。