「おじいちゃん、どうかしましたか?何か心配事でもあるんですか?」彼女は探るように尋ねた。
浜田統介は首を振った。「何でもないよ。桜、犯人の顔を覚えているかい?」
海野桜は少し考えてから、首を振って言った。「はっきりとは覚えていません。とても曖昧です。」
当時は緊急事態で、命を救うことだけを考えていて、犯人の顔をよく見ていなかったのだ。
見たのかもしれないが、具体的には覚えていない。頭部を負傷したこともあり、記憶が一層曖昧になっていた。
「全く覚えていないのか?」浜田統介は重ねて尋ねた。
海野桜は躊躇いながら言った。「かなり黒かったような気が...」
東山裕が急に一歩前に出た。「他には?」
「そうですよ、お嬢様。よく思い出してみてください。他に何か特徴は?」張本家政婦も期待を込めて彼女を見つめた。