第240章 海野桜、私は誰

張本花江は喜んで叫んだ。「お父さん、お孫さんが、私と英司の娘の碧が見つかりました!」

浜田統介は一瞬固まった。「何だって?」

「お父さん、碧を見つけたんです!」浜田英司は嬉しそうに答えた。

浜田統介は彼らの喜びに満ちた表情を見て、何かを思い出したのか、頭が鳴り、顔色が一瞬で青ざめた。

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事故から48時間後、海野桜はようやく命の危機を脱した。

ただし、彼女はまだ目覚めていなかった。

東山裕は病院で丸三日彼女を見守り、橋本友香も毎日見舞いに来ていた。

四日目の早朝、橋本友香がまた訪れた。

東山裕は窓際で電話を切ったところで、橋本友香は入ってくるなり尋ねた。「東山様、桜はまだ目覚めていませんか?」

東山裕は昏睡中の海野桜を一瞥し、暗い声で答えた。「ええ」

橋本友香はベッドの側に行き、買ってきた花束をベッドサイドテーブルに置いた。