しかしすぐに、彼女は今日なぜこんなに熱心で嬉しそうなのかわかった。
「桜ちゃん、紹介するわ」張本花江はその女の子を引き寄せ、満面の笑みで言った。「この子はあなたのいとこの碧よ。みんな会ったことがあるけど、あなただけまだ会ってなかったわね」
海野桜は一瞬凍りついた。目の前の女の子を驚いて見つめた。
彼女のいとこ?
浜田碧は微笑んで言った。「桜、退院おめでとう。入院中にお見舞いに行けなくてごめんなさい。忙しくて」
浜田英司が続けて説明した。「桜、この子が伯父さんが二十年前に失くした娘なんだ。最近やっと見つかったんだよ!」
海野桜はとても衝撃を受けた。まさか見つかるとは思わなかった。
伯父さん一家が娘を探し続けていたことは知っていた。以前は何年も探していたが、その後諦めていた。
まさか今になって見つかるなんて……
海野桜は嬉しそうに「どうやって見つかったの?」と尋ねた。
「それはね、後で話すわ」張本花江は浜田碧を東山裕の方へ連れて行った。「碧、この人が東山裕よ。ママが話していた人。これからは東山兄って呼んでね」
「東山兄」浜田碧は自然に呼びかけた。
東山裕は軽く頷き、感情のない声で「こんにちは」と言った。
張本花江は更に笑顔で「碧、あなたの東山兄はすごい人なのよ。芸能プロダクションも持ってるの。あなた、演技がしたいんでしょう?彼のところに……」
「もういい、早く食事にしよう。他の話は後でいい」浜田統介が突然彼女の言葉を遮った。
張本花江は言葉に詰まり、内心不快だったが、表には出さなかった。
東山裕は既に長い脚を踏み出し、海野桜と一緒におじいさんを支えながらリビングへ向かった。
張本花江は浜田碧を引き連れて後ろを歩きながら、東山裕に近づくようにと小声で囁いていた。
浜田碧はずっと微笑みながら聞いているだけで、何も言わなかった。
ダイニングでは、テーブルの上に既に豪華な料理が並んでいた。
みんなで囲んで食事をしながら話し、とても賑やかだった。
海野桜もすぐに、浜田碧がどのように見つかったのかを知った。
浜田碧は新人女優で、出演作は少なかったが、最近放送されているドラマで何度か顔を見せていた。
張本花江がテレビを見ていて彼女を発見したのだ。
浜田碧が若い頃の彼女にそっくりだったからで、確認してみたら本当に彼らの娘だったのだ!