「やめて……」海野桜は怖くなって彼を止めようとしたが、東山裕はわざと引っ張り続けた。
「ダメだ、見せてもらう!」彼は正々堂々と言い張った。「もし来てないとしたら、僕を騙してることになるじゃないか?」
「東山裕、やりすぎよ!」海野桜は笑いながら彼を叩き、押しのけようとしたが、東山裕は彼女をくすぐり始めた。
海野桜は大笑いしながら、必死に逃げようとしたが、彼の攻撃から逃れることはできなかった。
「あはは、もうやめて、あはははは……」
海野桜は笑いすぎて涙が出てきて、脅しの言葉を吐かざるを得なかった。
「あはは、もうやめないと、あはは、無視しちゃうわよ……」
男は突然激しく彼女の体を押さえつけ、海野桜が反応する間もなく、唇を熱く奪われた。
「んっ……」海野桜が小さく喘ぐと、すぐに彼の舌が器用に侵入してきた。
両手も彼に押さえつけられ、東山裕は深く彼女にキスをし、一つ一つの動きが極めて情熱的だった。
海野桜はすぐに彼のキスに酔いしれ、頭の中が真っ白になり、体も力が抜けていった。
部屋の温度は徐々に上がっていった。
男のキスは彼女の唇から下へと移り、首筋、鎖骨へと続いていった……
海野桜は潤んだ瞳で、両手で彼の肩をしっかりと掴み、体は弦のように緊張していた。
全てが制御不能になりそうな瞬間、突然彼女の携帯電話が鳴り出した!
「電話……」
「無視しろ!」東山裕は荒い息を吐きながら、再び彼女の唇を奪った。
しかし電話は執拗に鳴り続けた。
「ダメ、電話に出なきゃ……」海野桜は彼の不機嫌な表情を無視して、しっかりと彼を押しのけ、携帯電話を手に取った。
「もしもし?」彼女は東山裕を避けながら電話に出た。
「橋本友香様のご親族の方でしょうか。こちらは市立第一病院です。彼女が現在入院しておりまして、来ていただけますでしょうか?」
海野桜は凍りついた:「橋本友香がどうかしたんですか?」
「川に飛び込んで自殺を図り、一命は取り留めましたが、まだ意識が戻っていません……」
「すぐに行きます!」電話を切ると、海野桜は東山裕に向かって言った。「橋本友香が大変なの、急いで病院に行きましょう!」
東山裕は眉をひそめた。「なぜ彼女の件で君に連絡が来るんだ?」