第256章 彼に救われた

海野桜たちが病院に着いたときには、すでに日が暮れていた。

橋本友香はまだ目覚めていなかったが、体の具合は大分良くなっていた。

医師は彼らに言った。「男性の方が彼女を病院に連れてきました。救急処置が終わった後、浜田さんの電話番号を残して帰られました。」

海野桜は驚いて尋ねた。「その方がどなたか分かりますか?」

医師は首を振った。「分かりません。ただ、その方が彼女を救ったんです。当時全身びしょ濡れで、病院に連れてきた時はほとんど力尽きそうでした。」

医師が去った後、海野桜は不思議そうに東山裕に尋ねた。「橋本友香を救ったのは柴田治人さんですか?」

彼だけが橋本友香と彼女の両方を知っているからだ。

東山裕は頷いた。「おそらく彼でしょう。」

「でも、なぜ自分で残らなかったんでしょう?兄妹なのに。」血のつながりはないとはいえ。