第277章 海野桜に有罪判決が下る

家の崩壊は偶然ではなく、人為的なものだった。東山裕を密かに殺害するためだったのだ!

東山裕を殺すだけでなく、東山家の名誉も同時に破壊できる。

一石二鳥とは、なんと毒々しい策略だ!

しかし、誰が真実をこれほど露骨に隠蔽し、すべてを掌握しているのか?!

海野桜にも、浜田統介にも分からなかった。

彼は、海野桜があの時遭遇した事件も、同じ人物の仕業ではないかと疑っていた。

長男に疑いがかかっているとはいえ、結局は皆家族なのだから、海野桜に手を下すところまではいかないはずだ。

海野桜は老人の分析を聞いて、愕然とした。

「あの時の事件は、事故じゃなかったんですか?」彼女はずっと、悪意のある運転手に遭遇した不運だと思っていた。

老人は首を振った。「事故ではないはずだ。その前から、確かに誰かがお前を狙っていた。裕が密かに調査させて、それを確認していた……」

「いつの話ですか?!」海野桜は驚いた。

浜田統介はすぐに全てを彼女に話した。

海野桜は衝撃を受けた。今まで誰かが彼女を害そうとしていたことを、今になって初めて知ったのだ。

そして東山裕が密かに人を遣わして、彼女を守っていたのだ。

だからこそあの時、彼があんなに早く助けに来られたのだ。

これらの真実を知って、海野桜はさらに不安になった。

今や確実に、背後には強大な力を持つ敵が彼らを狙っているのだ。

東山裕だけでなく、彼女も標的にされているのだ!

その目的は彼らを破滅させることだ。

でも、なぜ……なぜ彼らを破滅させようとするのか?

海野桜には理解できず、何も分からなかった。

ただし一つ確かなことがある。今、全てを救えるのは東山裕だけだ。彼にしかその力はない!

しかし、彼はいつ戻ってくるのだろうか?

……

海野桜が裁判所からの召喚状を受け取ってから、第一回公判はすぐに始まった。

法廷で弁護士が懸命に弁護しても無駄だった。

全ての不利な証拠が彼女を指し示し、まるで動かぬ証拠のように見えたのだ!

そのため第一回公判の結果、海野桜は有罪となった。

損害賠償の支払いだけでなく、半年の実刑判決も下された。

海野桜は今まで冤罪の存在を信じたことがなかったが、この件で信じるようになった。

法律は証拠だけを重視する。たとえ証拠が偽物でも、偽物だと証明できなければ、それは真実となるのだ。