「お嬢様、旦那様が事故に遭われました。あなたまで具合が悪くなってはいけません。お体を大切にしてください。旦那様があなたのこんな姿を見たら、心を痛めるでしょう」と張本家政婦は彼女を慰めた。
海野桜は突然言った。「張本さん、実は今日、おじいちゃんに会ってきたの」
張本家政婦は驚いて固まった。「何ですって?旦那様にお会いになったんですか?!」
「うん、東山裕さんが連れて行ってくれたの……」
張本家政婦は驚いて「旦那様はお元気でしたか?」
海野桜は首を振った。「おじいちゃんは大丈夫だって言ってたけど、私にはわかるの。あそこはとても良くないところだって。張本さん、おじいちゃんを助けたいの」
たとえおじいちゃんに過ちがあったとしても、助けたかった。
善悪は関係なく、ただ一番愛してくれたおじいちゃんが無事でいてほしかった。
張本家政婦はさらに尋ねた。「旦那様は、あの時のことについて具体的に何かおっしゃいましたか?」
「いいえ。聞いてみたけど、ただ自分がやったって認めただけで、具体的なことは何も話してくれなかった」
「私は旦那様がそんなことをするはずがないと思います。きっと何か事情があるはずです!」張本家政婦は断固として言った。
海野桜は頷いた。「私もそう思う。だから絶対に真相を突き止めなきゃ!」
これが海野桜が奮起することを決意した理由でもあった。
彼女は本当に信じたくなかった。あんなに優しいおじいちゃんが、人を傷つけるようなことをするなんて。
きっと、彼女の知らないことが何かあるはずだ。
どうあれ、すべてを解明するまでは諦めない!
海野桜はその日のうちに退院した。彼女の体に特に問題はなく、家で休養をとり、規則正しい食事を心がければすぐに回復できる状態だった。
帰宅後、海野桜は真相の調査を始めた。
しかし、叔父たちも何も知らず、何も分からなかった。
さらに浜田統介の件で、浜田英司は一時的に職務停止となり、いつ復職できるかも分からない状況だった。
とにかく今の浜田家は、まさに一夜にして没落したような感じだった。
浜田英司は海野桜に助言した。「桜や、今おじいちゃんを救えるのは東山家だけだ。東山裕がお前のことをあれほど好いているんだから、頼んでみろ。そうすればおじいちゃんは無事かもしれない」