海野桜は少し目を伏せて、「分かっています。あなたたちが最大限の譲歩をしたということを言いたいのでしょう。でも東山裕、私には目の前で祖父が苦しむのを見過ごすことはできません……祖父は、この世界で私に一番良くしてくれた人で、私の唯一の肉親なのです……」
「たとえ祖父が間違ったことをしたとしても、私の心の中では、依然として最高の人です。祖父がいなくなれば、私には肉親がいなくなってしまいます。もう二度と、あんなに私を愛し、世話をしてくれる人はいなくなり、この世界には、寂しく私一人だけが残されることになります……」
「東山裕、私が代わりに刑務所に行きます。どれだけ長くても構いません。私はただ祖父に生きていてほしい、元気で生きていてほしいだけなんです……」
「だって祖父は私にとって、とても大切な存在なんです!」