第301章 彼ら二人だけが残された

「お前……」海野桜は胸が痛くなるほど怒り、「おじいちゃんは死なない！私のせいじゃない！」

「お前以外に誰がいる？！お前のせいで早晩死ぬことになる！」浜田英司は鋭い目つきで、「お前のためじゃなければ、こんなことになったか？なのにお前は人に助けを求めることすらできない！おじいちゃんがそんなにかわいがってくれたのに、よくも顔向けできるな？！」

海野桜はよろめいて一歩後ずさりした。

突然、頭が激しく痛くなり、まるで爆発しそうだった。

浜田英司の言葉は続いた。「さっさと消えろ！お前は本当に厄病神だ。両親を不幸にして、今度はおじいちゃんまで不幸にしようとしている！」

ドーン——

海野桜の瞳孔が大きく開き、頭の中が轟いていた。

叔父は何を言っているの……

ずっと黙っていた張本花江が我慢できずに彼女を引っ張った。「桜ちゃん、早く行きなさい。あなたが行けば、おじいちゃんは大丈夫かもしれない。」

海野桜は首を振った。「嘘よ、私がおじいちゃんを不幸にするなんてありえない、嘘よ！」

張本花江はいらいらして彼女を押した。「本当にあなたは不幸をもたらす。あなたの両親もそうして死んだのよ！早く行きなさい、おじいちゃんに何かあってはいけない！本当かどうかはともかく、とにかくおじいちゃんに何かあってはいけないの！」

海野桜は全身の力が抜け、押されるとそのまま地面に倒れ込んだ。

叔父と叔母の言葉が、彼女の耳の中で繰り返し響いていた。

海野桜は青ざめた顔で、心の中も恐怖に満ちていた。

不幸をもたらすという言葉が嘘だと分かっていても、それでも怖かった。本当におじいちゃんを不幸にしてしまうのではないかと。

そして彼女は本当に耐えられなくなっていた。まるで狂ってしまいそうだった。

だめ、この全てから逃げ出さなければ。そうしないと死んでしまう。

海野桜は立ち上がり、よろめきながら走り出した。どこへ行くのかも分からない、ただ逃げたかった。誰もいない場所へ、この全てから完全に離れたかった。

東山裕は知らせを受け、病院に様子を見に来ていた。

なぜ来たのか、彼自身にも分からなかった。

おそらく海野桜が悲しみ苦しむのを心配して……

しかし病院のロビーに入ったとたん、魂の抜けたような海野桜が彼の傍らを走り過ぎるのを見た！