第317章 父よ、私は不孝者です

彼の心は読みにくく、誰も彼が何を考えているのか分からなかった。

しかし父親である東山秀造は、一目で彼が決心を変える気など全くないことを見抜いていた。

彼と鴻野美鈴も何度も説得したが、彼は聞く耳を持たなかった。

今や一族全員が説得しても、彼はまだ聞き入れない……

東山秀造はもう我慢できず、激しく机を叩いた!

「東山裕、聞くぞ、お前は本当にこんな不道理な、皆から見放される様なことをするつもりか?!」

彼の突然の怒鳴り声に、全員が凍りついた。

海野桜のまぶたもピクリと動いた。

全員が東山裕を見つめ、彼の答えを待っていた。

全員が緊張し、無言の圧力をかけていた……

東山裕はゆっくりと目を上げ、父親と真っ直ぐに見つめ合い、そして、断固とした声で一言を吐き出した:「はい——」

東山秀造は愕然として、「お前は……」

海野桜を含め、全員が衝撃を受けた……

「父上、私は不孝の子です。」東山裕は立ち上がり、薄い唇を固く結び、しかし目は毅然としていた、「もし諦められるなら、とっくに諦めていました。少しでも迷いや未練があれば、私は諦めていたでしょう!恩を仇で返すようなことも、皆から見放されることも、こんなことをするのも望んでいません。でも……これらのことと比べて、私は海野桜のいない人生に耐えられないのです!」

海野桜の瞳孔が急激に縮んだ、心の中の感情が、突然とても複雑になった。

目も、何故か少し酸っぱくなってきた。

彼女は自分が何を悲しんでいるのか、何に感傷的になっているのか分からなかった……ただ何となく悲しい気持ちになった。

他の人々も、東山裕の言葉に驚かされた。彼がどんな人間なのか、彼らは皆よく知っていた。

一度言ったら二言はない、冷酷で決断力がある。

そして一族の中で最も冷静で理性的、最も優秀な存在だった。

彼が下した決定は、誰にも変えられない。

だから彼がこんな言葉を言うのを聞いて、彼らは終わったと分かった。なぜなら誰も彼の決定を変えることはできず、誰も彼を止めることはできないからだ!

「東山裕、お前は自分が何をしているのか分かっているのか?」東山秀造は一字一句はっきりと問いかけた、「お前は自分の姓が何か、まだ分かっているのか?!」

東山裕は目を伏せ、「父上、申し訳ありません!」

彼は本当に仕方がなかった、海野桜を諦めることは……