海野桜も自分の答えを言いたくなく、淡々と尋ねた。「本当に周りから見放されるのが怖くないの?」
聞いた瞬間後悔した。
この質問に何の意味があるのか。彼は既に手放さないと言ったのだから。そして彼が望むなら、彼女も後悔しないだろう。
東山裕は彼女を一瞥し、口角を上げた。「どうした?心配なのか?」
海野桜は言葉を失い、「そんなことあり得ると思う?」
「なぜあり得ないんだ?」東山裕は声を暗くして言った。「君がこれを気にしているのは分かっている」
海野桜が反論しようとした時、彼の言葉が続いた。
「もちろん、私のことを気にかけているわけじゃない。ただ私に多くを借りたくないだけだ」
「……」海野桜は言葉を失った。確かに彼女は東山裕が周りから見放されることを気にしていた。
彼女と彼の取引は、お互いの意思の下で行われたものだった。