第320章 私を殺そうとしているのは誰

東山裕の車が良くて、安全対策もしっかりしていたからよかった。そうでなければ、彼らはきっと怪我をしていただろう。

しかし、海野桜は少し怪我をしてしまい、足を捻ってしまった。

幸い大した怪我ではなく、骨には異常がなかった。

東山裕は全く無事のようだった。

彼は事故処理の人を呼び、そして近くの海辺の別荘に海野桜を連れて行こうとした。

「乗って!」彼は海野桜の前にしゃがみ、背中に乗るように促した。

「大丈夫です、自分で歩けます」海野桜は断ったが、立ち上がろうとした瞬間、東山裕に手首を掴まれ、彼の背中に引っ張られた。

背の高い男性は簡単に彼女を背負い上げた。

海野桜は少し驚き、「本当に大丈夫です、自分で歩けます!」

「ここから早く離れないと」と東山裕は言った。

海野桜は不思議に思い、「どうしてですか?」

男は彼女を背負いながら大股で歩き、低い声で言った:「今回の事故は単純な事故には見えない。偶然とは思えない」

海野桜は事故が起きた瞬間を思い出した。

あの車が突然飛び出してきたのは、確かに故意のように見えた。しかも事故を起こした後、その車は確認もせずに逃げてしまった。

海野桜は以前の数回の事故を思い出し、不安になった。「本当に誰かが私を殺そうとしているんでしょうか?」

でも、どうして?!

東山裕の目に暗い影が差した。「これからは密かに護衛をつけさせる!」

もう彼女に何も起こさせるわけにはいかない。

今回は避けられたが、次は避けられないかもしれない。

とにかく、もう油断はできない。

しかし海野桜はまだ納得できなかった。「一体誰が私を殺そうとしているんですか?どうして私を?」

「分からない。まだ突き止められていないが、必ず分かるはずだ」東山裕は彼女を慰めた。

海野桜はもう何も言わず、道中ずっと誰が自分の命を狙っているのか考えていた。

彼女には敵はいないし、知り合いも多くない。誰が何度も彼女を殺そうとしているのだろう?

林馨だろうか?

しかし海野桜が彼女を知る限り、あの女は慎重で、表立って悪事を働くようなタイプではない。それに、彼女を殺すまでする必要はないはずだ。

だから彼女ではないはずだ。

では一体誰なのか?