この電話は、彼の心をさらに落ち着かなくさせた。
今日、海野桜は外出せず、誰かが彼女になりすまして学校に行った。
そして本当に彼女を殺そうとする者が現れた!
これは初めてではない。影で動く者は、いつも海野桜を狙う機会を探している。
その者を捕まえなければ、桜は安全ではないし、彼も安心できない!
浜田統介の目の奥に暗い色が浮かんだ。この件は必ず解決しなければならない。さもなければ、死んでも安心できない!
……
海野桜は祖父の思いを知らず、静かに20歳の誕生日を迎えた。
前世では、20歳の誕生日に家族全員でホテルで食事をしたことを覚えている。
東山裕は仕事が忙しく、遅れて来た。
食事が終わるとすぐに帰ってしまい、プレゼントも何もくれなかった。当時の彼女はとても落ち込んで悲しかった。
今思い返せば、あの頃の自分は傷つきやすすぎたのだ。
ただプレゼントがなかっただけなのに、何を悲しむことがあったのだろう……
本当に恵まれた生活を送っていたから、ちょっとした不満も大きく感じてしまっていた。実際は、ただ元気に生きていて、最愛の家族も生きていれば、それだけで本当に幸せなのだ。
そう考えると、海野桜は笑みがこぼれた。今の彼女はとても幸せだから。
自分も生きていて、おじいちゃんも生きている……
「お嬢様、お食事の準備ができました。ご主人様がすぐに来るようにとおっしゃっています」と張本家政婦が戸外から呼びかけた。
海野桜は笑顔で応えた。「すぐに行きます!」
使用人たちは朝早くから豪華な料理を用意していた。海野桜は食堂に来ると、テーブルいっぱいの料理を見て、とても嬉しくなった。
「わあ、全部私の好きな料理!」海野桜は驚きの声を上げた。
老人は主席に座り、にこやかに言った。「お前の大好きなロブスターもあるぞ。オーストラリアから空輸したばかりの新鮮なものだ!」
テーブルの中央の皿には、確かに大きなロブスターが数匹置かれており、テーブルの三分の一ほどを占めていた!
海野桜は嬉しそうに老人のところへ行って抱きついた。「おじいちゃん、本当にありがとう。こんなにたくさんのロブスターを用意してくれて!」
浜田統介は笑いながら彼女の腕を叩いた。「さあ、座って食べなさい。好きなだけ全部食べていいよ。全部お前のために用意したんだから」