第339章 あなたを送り出さなければ

しかし、これからのことを考えると、また悲しくなってきた。

「桜ちゃん、はい、これをあげよう」浜田統介は銀行カードを取り出して彼女に渡した。

海野桜は不思議そうに「おじいちゃん、これは何のために?」と尋ねた。

老人は説明した。「今日で20歳になったね。おじいちゃんの目には、もう大人に見えるよ。そろそろ自立した生活を送る時期だ。これは、おじいちゃんがこの何年間かで貯めたお小遣いだ。ゆっくり使いなさい」

海野桜は嬉しそうに銀行カードを手に取り、わざと「おじいちゃん、中にいくら入ってるの?」と聞いた。

「そう多くはないよ、5000万円だけだ」

海野桜は驚いて「いくらですって?!」

老人は笑って「どうした?少なすぎると思うのか?」

「違います!」海野桜は慌てて首を振った。「おじいちゃん、どうしてこんなにたくさんのお金をくれるの?なぜ急にこんなに?」