東山裕の目が震えた。
彼女は彼を愛していないにもかかわらず、そんな言葉を聞けて、彼の心は感動していた。
どうあれ、少なくとも彼女は後悔していない。
それだけでも、彼女は彼よりもずっと立派だった。恋愛の世界では、彼女はいつも彼より上手くやっていた。
昔もそうだし、今もそう……
東山裕の心は突然、様々な感情が込み上げてきた。
彼は彼女の手を握り、どれほどの勇気を振り絞ったかわからないまま言った。「海野桜、僕は君を愛している。でも、君の幸せをもっと願っている。でも、君を不幸にしてきたのは、ずっと僕だった。だから今日、結婚は取りやめにしよう!」
海野桜は驚愕し、彼の言葉の意味がすぐには理解できなかった。
東山裕は彼女を見つめ、低い声で続けた。「これは君を諦めたという意味じゃない。ただ、君に自由に選択する機会を与えたいんだ!おじいさんを救うために、僕と結婚する必要はない。君は何のために自分を犠牲にする必要もない。僕も君を強制しない、君のどんな選択も尊重する。だから数日間考える時間をあげる。今週末は君の20歳の誕生日だ。僕は時代ホテルの最上階で君を待っている。一日中待っている。来てくれれば、僕たちはやり直せる!来なければ、君の選択を尊重する……」