第364章 離婚などしていなかった

福岡市では今日、市全体を揺るがす二つのニュースが発生した。

一つ目のニュースは、昨夜の警察と犯罪者との銃撃戦に関するものだった。ほとんどの人が昨夜の出来事と、一人の女性が誘拐された事件について知ることとなった。

二つ目のニュースは、東山の社長である東山裕からのものだった。

その内容も、昨夜の銃撃戦に関するものだった。

そして、あの女性についてのものでもあった!

誰もが驚いたのは、誘拐された女性が東山裕の妻だったということだ。

彼は犯人たちに警告を発し、即刻人質を解放するよう要求した。さもなければ東山一族全体と敵対することになると!

そして彼は、あらゆる手段を尽くして報復すると!

この事件に関わる者は一人も見逃さないと!

犯人たちに一日の猶予を与え、明日までに解放しなければ容赦しないと宣言した!

事情を知る者たちは皆、衝撃を受けていた。

一つは、東山裕がこのような警告を発し、海野桜を傷つけた者に対してあらゆる手段で報復すると宣言したことに。

二つ目は……彼らは離婚したはずではなかったのか?

なぜ海野桜が再び彼の妻となっているのか?

密かに調べてみると、実は彼らは全く離婚していなかったことが判明した。二人はずっと夫婦であり、離婚の噂は全ての人を欺いていたのだった……

……

東山ビル。

東山裕は社長室で静かに待ち続けていた。

突然、空気さえも凍りついたような静寂な部屋の中で、彼の携帯電話が鳴った!

東山裕はまつ毛を微かに動かし、電話を取って応答した。「もしもし……」

「東山様、浜田さんが見つかりました!」向こうから警察官の声が聞こえた。

海野桜が見つかったのだ。

警察は継続的な救出活動を通じて、ついに彼女を救出することができた。

それまで彼女の居場所が分からなかったのだが、突然手がかりを得て発見し、激しい戦いの末、海野桜を人質に取っていた犯人を射殺して、無事に彼女を救出した。

海野桜は現在、警察署にいる。

東山裕は急いで駆けつけ、落ち着いた様子を装いながらも、少し焦りを含んだ足取りで警察署に入った。

海野桜は供述録取中で、女性警官が彼女に温かいコーヒーを差し出していた。

「ありがとうございます」海野桜はそれを受け取り、一口飲むと、体の震えも少し収まってきた。

「浜田さん、これで全てですか?」警察官が尋ねた。