第362章 誰一人も見逃さない

東山裕の高級スポーツカーが急ブレーキをかけ、ホテルの前で停止した!

車のドアを開け、彼は大股で出てきた。その雰囲気は冷たく厳しかった!

そして、彼は遠くで部下に現場の片付けを指示している相良剛の姿を見つけた。

警察隊と医療スタッフが至る所を走り回っていた。

この銃撃戦で多くの人が負傷した。当時、多くの人が逃げ出す時間がなく、流れ弾に当たってしまったのだ。

一人の男が東山裕の傍らを担がれて運ばれていく。腹部に銃弾を受け、血を流していた。

東山裕はここの状況を見つめ、その眼差しはますます冷たくなっていった。

次の瞬間、彼は相良剛に向かって大股で歩み寄り、その襟首を掴んだ!

相良剛は反射的に反撃しようとしたが、相手が誰かを認識すると、我慢した。

東山裕は冷たい目で彼を見つめ、問い詰めた。「海野桜が連れ去られたのか?!」

その話題を出された相良剛は顎を引き締めた。「ああ、彼女は連れ去られた!」

「お前は現場にいたのか?!」東山裕は更に追及した。相良剛が戦闘服ではなくスーツを着ていたからだ。

だから彼は、相良剛が現場にいたと推測した。

相良剛は無表情で答えた。「ああ、現場にいた。彼女が連れ去られるのを見ていた……」

東山裕は突然、全力で相良剛の顔面を殴りつけた!

この一撃は容赦のない、全力のものだった。

相良剛は倒れそうになり、他の特殊部隊員たちはこれを見て、一斉に銃口を東山裕に向けた!

東山裕は平然とした表情で、再び相良剛に詰め寄った。「つまり、助けもせずに、ただ彼女が連れ去られるのを見ていただけなのか?!」

これは相良剛の心の痛みだった。彼は冷たい声で言った。「私も彼女を助けたかった。しかし、今は既に救助隊が向かっている!」

東山裕は怒鳴った。「なぜお前が行かない?!」

相良剛は暗い目をして、背筋を伸ばした。「私の現在の任務は、ここで後処理をすることだ!」

つまり、彼も行きたかったが、命令で許されなかったのだ。

彼は軍人として、命令に従うしかなかった。

しかし、東山裕にとって、それらは全てくだらないことだった!

どんな命令であれ、海野桜の命には代えられない!

だが、海野桜は彼が救う!

ただし……