第361章 海野桜が連れ去られた

まるで手品のように、元々調和のとれていた場面が、一瞬にして混乱に陥った。

客は至る所に逃げ散り、銃弾が飛び交う……

海野桜は最初の銃声を聞いた瞬間、すぐに身を隠した。

彼女はバルコニーの隅に隠れ、カーテンの隙間から中の様子を窺っていた。

相良剛側の潜入捜査官たちは一群の敵と激しく戦っていた。

相手はギャング団のようで、全員が銃を持ち、一人一人が凶暴で容赦がなかった。

海野桜は相良剛から目を離さず、彼が怪我をしないか心配だった。

幸い、彼の身のこなしは素晴らしかった……

ほんの少しの間に、ほとんどの客は逃げ出し、両陣営の戦いだけが残った。

しかし相良剛側の人数は少なく、あと数人しか残っていないという時、外から空を切り裂くようなサイレンの音が響いた。

敵のギャング団の一人が外から駆け込んできて叫んだ。「特殊部隊が来た!大勢だ、みんな早く撤退しろ!」